住まいにおいて家具の存在は欠かせません。
空間の一部として存在する家具は、デザイン性の高さはもちろん、実用性を兼ね合わせていなければなりません。
一般的に家具というと、家具店やインテリアショップへ行き、お部屋に合った、そして気に入った既製品家具を購入し、設置すると思います。
このような既製品家具とは別に、『造作家具』というものがあります。
目次
造作家具とは?
造作家具とは、既製品家具とは違い、要望や希望に沿ってオーダーメイドでつくる家具のことをいいます。
お部屋の大きさに合った家具、間取りに沿った家具をつくることが可能ですし、家具の素材やデザインなど自由に選ぶことができます。
≪造作家具のメリット≫
1.無駄な空間を生まない
空間に合わせてミリ単位でサイズを調整しながら家具をつくるため、余計な隙間が生まれてしまうことがなく、スペースを無駄にする心配がありません。
空間の壁から壁、床から天井まで余すことなく活用することも可能であるため、例えば二階ホールの壁一面を利用して本棚を設け、数多くある書籍を一か所で管理できるミニライブラリー空間をつくり出すことも可能です。天井まで余すことなく収納スペースとして利用することで収納力がアップするだけでなく、書籍のサイズに合わせて棚の高さや奥行きをプランニングでき、本をきれいに整頓できます。
写真アルバムなどもここで管理できるようにしておき、家族の思い出をすぐに振り返えられるようにしておくのも素敵ですね。
2.室内全体の統一感を高められる
造作家具は、室内で使用している壁や床の素材、色、デザインなどとの調和を合わせながら、家具で使用する素材、色、デザインを取り入れることが可能であるため、家具が空間に馴染み室内全体の統一感が高められます。手持ち家具との調和にも配慮し、家具を製作することも可能であるため、一体感を大事にすることができるのです。
3.家具が倒れこむ心配が無い
造作家具は、壁に固定したり、隙間なくぴったりのサイズで家具をつくりつけるため、大地震の際でも家具が倒れこむ心配がありません。いざという時の備えとして金具を取り付けて補強することもできるため、安心して過ごすことができます。
日本は地震大国であるため、年々住まいの耐震性は重要視されています。その一つとして家具も地震に備えておくことは大事といえます。
4.家具選びの手間を省ける
既製品家具の場合、お部屋に合ったサイズの家具を見つけ出しても、デザインが気に入らなかったり、逆にデザインが気に入っても、サイズがお部屋に合わなかったりとすることも多く、お部屋に合った家具を見つけ出すのは大変で、意外と時間や手間がかかってしまいます。
造作家具であれば、このような時間や手間がかからず、お部屋に合った、また自分好みの家具を手に入れられるのです。
5.家具における自由度の高さ
設置する場所やお部屋のサイズ、さらにはお部屋の雰囲気や手持ちアイテムとの一体感を大事にした家具をつくることができるため、家具における自由度が非常に高いことがいえます。ソファやベッドの場合には、体に合わせて家具をつくることもできるため、さらに居心地の良さを追求できるのです。
また、収納する物に合わせたサイズ設計や仕様にすることで、収納する物を把握しやすく、さらには出し入れもしやすくなるため収納への満足感も高められます。
家具を自由にプランニングできることで、オリジナリティあふれた家具を完成でき、満足度が高められることで、家具をより大切に使おうという心がけにもつながるのです。
≪造作家具のデメリット≫
1. 移動ができない
お部屋のサイズや収納する物に合わせたサイズで設計された家具であるため、他の場所に移動できなくて不便さを感じることもあるかもしれません。
また、しっかりと建物に取り付けることで耐震性を高められる一方、撤去したいと思っても外しにくいこともあります。
家族構成やライフスタイルの変化に伴い、家具に求めることにも変化が生じます。
このような場合でも対応できるように、一部分を可変できるようにしておいたり、撤去しやすく施工してもらうなどの対応をとっておくと安心ですね。
2. コストが高くなりがち
高い材料、複雑なつくり、こだわったデザインの場合、非常にコストが高くなってしまうこともあります。海外で生産された安価な既製品家具が多く出回っているため、家具にこだわり過ぎることで高価になってしまうことも少なくありません。
しかし、既製品家具でも高額な商品も多いですし、造作家具でシンプルなつくりにすることでコストカットできることもあるため、予算を意識しながら家具をプランニングしておくことが大事となります。
3. 打ち合わせが必要となる
どのような材料を取り入れるのか、サイズや仕様はどうするのか、打ち合わせが必要となります。建物に家具をつくりつけると、後から容易に移動したり、家具を取り替えることもできないため、後悔しないようにしっかりと家具をプランニングしておく必要があるのです。一から家具をつくるため、完成するまで現物を見ることができません。思っていた色、デザインでなかったということもあり、しっかりと信頼できるパートナーを見つけ出し、打ち合わせを重ね、イメージと違ったということのないようにしておきましょう。
造作家具には、家具工事と大工工事がある!
造作家具を注文する場合、「家具工場」と「大工工事」があり、同じ造作家具の製作でも、作り方・材料・色・コスト・精度・納期などが異なります。
この違いを把握したうえで取り入れておくことも大事です。
≪家具工事≫
家具工事は、家具工場で家具大工が製作します。
家具をパネルやパーツからつくるため、芯材・表面材・仕上げ材・下地材などの種類が豊富です。また、各種機械を使用して家具を製作するため、寸法や仕様など仕上がりの精度が非常に高いのです。難しい加工や複雑な構造の家具も高品質で作ることができます。
また、工場で家具を製作するため、現場の工程に左右されることもないのです。
しかし、配送費や搬入据付費などが発生するため、コストが高くなってしまいがちです。
また、家具の設置スペースより少し小さくつくらなければ、家具がおさまらないという問題が生じてしまいます。そのため、数ミリの誤差が出てしまいます。設置時にしっかりと調整することで、使用上の問題はありませんし、見た目を損なうこともありません。
塗装においても、製作した家具とそれ以外の塗装部分と、色の兼ね合いにズレが出てしまうこともあるため、打ち合わせをしっかりと行い、色の統一にも配慮しておきましょう。
≪大工工事≫
大工工事は、現場で大工が製作します。
大工工事の場合、家具の製作も造作工事の一つとして作業ができることが多いため、製作手間が作業費の一部に組み込まれ、費用を抑えることができます。
現場で家具を製作するため、誤差なくぴったりと家具をおさめることができますし、塗装においても現場で行うため、製作した家具とそれ以外の色調をしっかりと合わせることができるのです。
しかし、機械や環境が整っていない現場で家具を製作するため、家具工事に比べると家具の精度は低くなります。また、家具工事のように特殊な機械も無いため、大工さんがひとつひとつ手間暇かけて家具をつくります。加工したりする技術を持った職人かどうかで仕上がりが大きく変わってきます。
まとめ
空間の一部であり、なくてはならない家具。
それだけに見た目の美しさやおしゃれさが求められますし、日々使うものでもあるため実用性も兼ね備えていなければなりません。既製品家具と造作家具、どちらにも一長一短あるため予算を踏まえ、自分がどのような家具を希望するのかを整理しておきましょう。造作家具を取り入れる場合には、家具工事と大工工事どちらを選ぶかで、家具の仕上がりや費用が異なります。暮らしに沿った家具を取り入れ、暮らしをより豊かにしたいものですね。